可もなく、不可もなく「ちょうどいい」がある町、丸亀 2022-03-22
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丸亀の港町にあるお茶室『京極庵』
京極庵で働く半田宗也さんは、約2年程前に、高松から丸亀に移ってこられました。
これまで取材させていただいた方のほとんどが丸亀出身の方だったということもあり、市外から港町にやってきた半田さんが感じる『丸亀の港町』の魅力についてお話を伺ってみました。
突然ですが、半田さんが丸亀に住むことになったきっかけを教えてください。もともとは高松に住んでらっしゃったと…
そうですね、最初は高松に住んでいました。私は個人で設計の仕事もしているんですが、当時山口県の仕事を受けていて、ずっと高松―山口を往復していたんですよね。行き来をする中で、ちょうど間にある丸亀ってすごく利便性がいいなと思い始めるようになりました。
すぐに本州側に渡れるので、立地としてはとても恵まれた場所ですよね。それで、当時受けていた山口県の仕事が終わるまでは、どのみちこの往復生活が続くので、だったら丸亀に住んでみよう! と思ったんです。そのあとのことは、終わってから考えよう! と。なので、山口県の仕事が終わったら、最初は引っ越すつもりでいたんです。
なんですけど、いる間に居心地がよくなっちゃって。今では京極庵とも関わりを持つようになり、そのまま丸亀にいるって感じですね。
交通の利便性はみなさんおっしゃるポイントですね。それ以外に半田さんが感じる『居心地のよさ』というのは具体的にどんなことでしょう?
そうですね…可もなく、不可もなくみたいな感じが好きなのかもしれません。ちょうど田舎で、ちょうど田舎過ぎないというか。生活のしやすさに関しても、人と人との距離感にしても「ちょうどいい」んですよね。
例えば、もっと大きい仕事をとってバリバリやりたいっていう人や、逆に家庭菜園などをしながら、半自給自足みたいな感じでがっつり田舎暮らしがしたいっていう人には合わないかもしれませんけど…「ほどよくどっちも欲しい」みたいな人にとっては、仕事とプライベートのバランスがとりやすい気がします。流れる時間の速さなんでしょうかね…
確かに、同じ時間でも流れる速さって肌感覚では違いますよね。半田さんのライフスタイルにはここが合ってたということですね。
この町のお気に入りの場所などはありますか?
分かりやすいですが、猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)は近いですし、月1くらいでは行ってますね。ああいった建物がシンボルとして町にあるのは、住んでて嬉しいなと思います。
自分の住んでる町に、きれいな建物があったりすると、ちょっと住み心地が良くなった気がするんですよね。実際は何も変わらないし、具体的に何が良くなるとか、私に特別利益があるというわけではないんですが…なんとなくそんな気分になれるのは嬉しいものです。
あとは丸亀城ですかね。時々高松から丸亀に帰ってきて、お城を見ると「帰ってきたな」と…まだ2年ですけど(笑) それでもお城の麓に住んでるというのは、居心地がいいものだなと感じますね。お城があることで、町に対する愛着や誇りみたいなものが出やすいのかな? とは思います。
それはあるかもしれないですね。お城やアートなど文化的なものを感じやすい要素は他にもたくさんある気がします。
丸亀は文化レベルが高いなと思いますよね。ここ(京極庵)に展示されてる方たちが、まさにその象徴で、丸亀から多くの人が輩出されてるとか、お城が今も残っているというのも1つアドバンテージのように感じます。
もちろんどこと比べて高いか…という話はあるかもしれないですが、それでも高い方だとは思いますね。
お仕事もしつつ、空いた余白で、そういった文化的なものにすぐ触れることができるので、オンオフの切り替えがしやすいというか、環境は整ってる感じがしますね。そういう意味で心地のよい町だなと思います。
ありがとうございました!
半田さんの「可もなく、不可もなく」という言葉がとても印象的でした。日常のふとした会話の中でも使われる「可もなく、不可もなく」。なんということもない、平凡であることを指す言葉ではありますが、町は人の暮らしとともにあるもの。そう考えると、どちらにも振り切らない「ちょうどいい」が、住む人それぞれにとっての「心地いい」を作っていくのかもしれないと感じました。
設計のお仕事をされてる方ならではの視点もあり、非常に興味深かったです!ありがとうございました。