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Lantern Bar 2021-03-26

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「ポテンシャルを感じるからこそ、もっと本音で向き合える町に」

「Lantern Bar」オーナー 石川博一さん インタビュー

丸亀駅から約2km離れた住宅街で飲食店を経営されている石川さん、お店をオープンして3年目の年に、2店舗目となるLantern Barをこの港町にオープンしました。今年2周年を迎えるLantern Bar。この町でお店をするようになり、今、石川さんは一店舗目のお店も港町に移転させたいといいます。
そんな石川さんに、ご自身のビジネスのことや、石川さんが感じるこの町の可能性について、お話を伺いました。


「あったらいいな」「やりたい」をどんどん形に

こちらのお店がオープンされて2年目に入るとお聞きしました。それ以前はどちらかで飲食のお仕事をされていたんでしょうか?

実は山北町でもう1店舗飲食店をやってるんですよ。「山北酒場 赤ちょうちん」というお店です。ここが今年の4月で5周年を迎えます。

そうだったんですね。石川さんはもうずっと飲食の世界にいらっしゃるのですか?

途中2~3年くらいなんですけど、美容師をしていたことがありました。その期間を除けば、10代のアルバイトの頃からずっと飲食ですね。

美容師をされてたんですね。なぜまた飲食に戻ってこようと思ったんですか?

昔から雇われるのが性に合わなくて、自分のやりたいようにやっていきたいというのが強くて、それで美容師の時も好き勝手やってしまって、クビになったんですよ。仕方ないですよね。

それで、独立したいなという想いが出てきて、それまで経験のあった飲食の世界へ戻りました。ハサミから包丁に持ち替えたというか……切ること自体は変わってないんですけどね(笑)

なるほど。それで赤ちょうちんをオープンさせたと。

そうです。

そこから、さらにバーをやろうと思ったのにはどんな経緯がありますか?

単純に飽きてきたんです(笑) 居酒屋でわいわいがやがやするのも好きなんですが、年齢もあってか、しっぽり飲む場所も欲しくなってきて、それで作っちゃえと。

僕飽き性なんですよ。なので、どちらかというと新しいことをどんどんやっていきたい気持ちの方が強くて。今も春以降に新たに飲食店を始めたいなと計画中です。

決断力と行動力ですね。お聞きしてると、どちらかというと経営の方に振っている印象ですが、お店には立たれてないのですか?

赤ちょうちんは、オープンして2~3年は基盤を作るためにお店に立っていました。でも少しずつ、次に渡していかないと、ということで、お店に立つのを辞めたんです。覚悟はしてましたが、やっぱりお客様はゴソっと減りましたよね。その時に、自分が外れることで、また1から作りあげる時間が勿体ないなぁと感じました。
その経験があったので、このお店は最初から立たないと決めて、お店には立ってないですね。カウンターに座って、お酒を飲んでることは多いですけど。

なるほど。今日お会いするまで、てっきりお店に立ってるものと思っていました。

このエリアの方は事業者さんは、経営ももちろんされてますが、どちらかというと職人さんタイプの方が多いのかなと感じてます。こだわりを持ってやってらっしゃる方。好きじゃないと、あそこまで突き詰められないなと思います。僕はどちらかというと、経営者になりたかったので、少しスタンスが違うかもしれませんね。

そうなんですね。経営をする上で石川さんが大切にしてることってどんなことですか?

「人」ですね。好きで来てくれてるお客様やファンのために、お店に立つ人を育てるということでしょうか。結局「人」でしか動かないですから。
完全に経営側に入ると、任せる勇気とかスタッフを信じることとか、そういうことが必要になってくるので、そのためにも、スタッフのコミュニケーション能力の底上げなど、人育てはやるようにしています。


ホテルやマンションが建つということ

赤ちょうちんは山北町なので、ここから少し南の場所になりますが、なぜ今回はこのエリアでやろうと思ったのでしょうか?

なんとなく駅の近くが良かったんですよね。それで、「いい場所ないかなぁ」ということを友人に漏らしていたら、この場所が空くという情報が入ってきて、それでここにしました。

オープンして2年目に入るということでした。このエリアのどのような所に魅力を感じていますか?

魅力……ポテンシャルはあると思うんですよ。

具体的にはどのようなところでしょう?

なんだろう……多分ポテンシャルなかったら、この時代近くにホテルもマンションも立たないですよね。

確かに、1つは石川さんが駅近くがいい、とおっしゃってたように、交通の利便性が理由してるのかなとは思うんですが、それ以外にありますか?

個人的な意見ですけど、郊外に魅力を感じなくなったんですよね。以前は郊外に魅力を感じていました。だから赤ちょうちんも山北町にオープンしたんです。
というのも、赤ちょうちんはファミリー層をターゲットにしているんですよね。なので、駐車場の確保できるところで、住宅も多いエリアに……となると郊外でした。実際にお客様もよく足を運んでくれていたんですけど、今回の新型コロナで感じましたが、やはり子どもがいると何かの時にはファミリーはなかなか動かないなと思いましたね。
コロナがなくなる前にうちの店がなくなる!と思ったこともあります。

だけど、このあたりのお店に来られるお客様は、コロナのことを気にしてないことはないんでしょうけど、なんというか……自己責任の元に動ける人たちが動いている感じがします。

経済を止めるわけにはいかないから、ホテルにはビジネスで宿泊してる人も一定数いて、そうすると一見さんも当然のことながら来店するし、そういう人たちをちゃんと受け入れることが出来る場所ですよね。
郊外だと、一見さんは来ないですから。

確かに。郊外って、どちらかというと地元の人のお店と言う印象です。私自身が仕事やプライベートで県外に行っても、結局宿泊する場所が基点になるので、ホテル周辺に程よいお店があれば、そこにしようって思っちゃってるところはありますね。

近辺で探すでしょ? 足の問題もありますしね。タクシー使うくらいなら……って思うんだと思います。

新型コロナ感染症が終息した後はどのようになると?

どうでしょうね。今回のコロナを受けて、外食のしかたも変わってくるでしょうしね。
赤ちょうちんが、ここ1年位大人数での忘年会や飲み会がとれていないんですね。それを考えると、結局そこまで大きくないスペースで、スタッフも必要なだけにした内容の方が、利益が取れるというか……お金の話になっちゃうんですけどね。

だからこのタイミングだからというのもあるかもしれないですが、駅やホテル周辺でコンパクトにスタートできる場所という点ではいいのかなと思っています。


思い切った改革で、もっとオープンなまちづくりを

逆に課題に感じていることはありますか?

事業者や新しくこのエリアで事業を始めたい人と、不動産を所有している持ち主さんとのマッチングじゃないですかね。例えばですけど、実は僕は赤ちょうちんをこのエリアに持ってきたいと思ってるんですね。だけどそれが上手くいかない。

空いている物件があって、そこを使いたいという人がいるのに、そこを上手くマッチングできないのはもったいないなと思います。
ここは商店街にも面してますが、もうほとんどが閉まってるので。いわゆるシャッター商店街ですよね。自分たちが事業している町に元気がないのはなんかね……やっぱりシャッターは開けて欲しいですよ。港側にしたって、使ってない物件も多いですよね。それらを情報も含めて、オープンな状態にして欲しいですけど、所有されてる方たちも、いろんな事情があるみたいで。

でも僕たち事業者側は、立場が違うので視点も別なわけじゃないですか。だから、ちょっと違うよな……と感じることはありますよね。もどかしさはあります。
今青年会議所に所属しているので、所属しているうちに、そういう声があるということも届けていきたいなとは思ってますね。

なるほど、そうなんですね。では最後に、それらの課題も踏まえて、将来的にこの町がどのように変化していったらいいなと思いますか?

毒舌でもいいですか?

どうぞ。

行政には、もっと大胆なテコ入れを期待します。まちづくりとか活性化と言いはじめて、もう何年っていう話なので、例えば今回市役所が新庁舎に建て替えされましたけど、その新庁舎の場所を課題を抱えているエリアに建築するとか……それで、当初建っていたエリアに新しく今の暮らしに合った町を作っていくみたいな。今更ですけどね、そんな風に思っていました。

斬新ですね。これまでお話を聞いてきた中でも、そういった回答は初めてかもしれません。

こういった所で飲食の仕事をしていると、いろんな方のお話を聞くんです。すると、それぞれの立場で本音と建前が存在していて。なのに「みんなで」って無理がありますよね。

なので、思い切った改革を。建前はもういらないですよね。チャレンジしたい人たちが、もっと入っていきやすいように、オープンな姿勢が取れる町になるといいなと思います。

ありがとうございました!


インタビュー終わりにお話している中で、さらにもう1つ新しい計画を進めようとしていることが発覚しました(笑) 「あ! もう1個あったわ!」とにこやかに話す石川さん。聞くと、石川さんらしい独自の視点で社会へ貢献しようとしている様子が窺えました。
やりたいことをどんどん形にしようと進めていく姿に脱帽です。これからも応援しています!

The English version is currently being prepared.