BLOG
&NEWS

ザ・丸亀ゲストハウス ふくふく 2020-05-20

Select language :

「この町、この国の文化と魅力を伝えていきたい」

「ザ・丸亀ゲストハウス ふくふく」 宿主 塩田光好さん・塩田直美さんインタビュー

「吉と出るか凶と出るかは分からないけれど、オープンに向けて準備に没頭する主人を支えようと思ったんですよね……」
「いやぁ……もう勢いですよ。大変だったけど、勢いでやれたようなもんですよね。今もう1回と思うとヨイショがいるのが実際のところです(笑)」

取材の最後にポツリと本音を語ってくれた塩田ご夫妻。お二人は、光好さんが長年勤務された会社を定年退職された後、第2の人生として丸亀の駅前でゲストハウスをスタートさせました。オープンして約2年、ゲストハウスふくふくのお客様は国際色豊かな方が多いのが特徴です。たくさんの海外から来るゲストと接する中でお二人が感じたこの町の魅力や、運営に対する想いについてお伺いしました。


このエリアは最高のロケーション

丸亀でゲストハウスをするようになったきっかけについて教えてください。

直美さん(以下 直):ロケーションがいい位置にあった、ここの物件をタイミング良く紹介してくれたんです。ちょうど夫が定年退職した年で、夫は根っからの仕事人間なので……急に仕事が無くなって、内に籠るのは嫌だなと。何かしたいなと思う気持ちがありました。

光好さん(以下 光):僕は昔からじっとしてられない人間でね、仕事がないとダメなんですよ。

どのタイミングでゲストハウスをしたいと思うようになったんでしょう?

直:実は当初はゲストハウスをしたいとは全く思ってなかったんです。ただこの物件を紹介してもらった時に建物の内容や立地条件を考えると、ゲストハウスがいいんじゃないかと思うようになりました。

どんなところがゲストハウスにいいと思ったんですか?

光:この建物は元々別の大家さんがいてね、テナント貸しをしてました。当時、1階はミシン屋さんや喫茶店なんかが入っていて、2階以上は事務所が入ってました。駅が目の前なので、昔は会社の事務所をここに置いて、丸亀を基点に電車で高松に行ったり、西の方へ向かっていたということだと思います。

そういった背景と近年のインバウンドの流れで、長期滞在でここを中心に南や西へと旅行してもらいたいなという思いが湧いてきたんです。妻が英語が喋れるので、海外のバックパッカーの方なんかのフォローもできるかなというのもあって。

物件を決めるにあたって、他のエリアや物件などは検討されましたか?

光:それは無かったですかね……私は多度津出身で妻は琴平ですが、やっぱり中讃・西讃地区の中心は丸亀なので。交通の利便性からしてもここを基点にする方が、来訪者にはいいと思いました。丸亀駅が目の前っていう立地条件もなかなか無いですから。

この2月に丸2年を迎えられたんですよね。おめでとうございます。2年やってこられて、このエリアのどういうところに魅力を感じていますか?

直:まずは丸亀城がナンバー1ですよね。他にはMIMOCA(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)とか……MIMOCA目当てに芸大の学生さんが来られることもあります。

あとは、港の方だと島ですよね。以前フランスから来られたお客様が、映画で見た日本の原風景を見てみたいと、1日1島ずつ島を巡りながら滞在されたことがありました。ヨーロッパ系の方は時間の使い方が全然違いますね。日本人のように刻むように時間を使わない過ごし方をされているのは見ていて印象的です。もしかすると、島の時間は合ってるのかもしれないなと思いますよね。瀬戸内は島が多いですから、とっても魅力的だと思います。

まぁそんな感じで、北は瀬戸内海、南は丸亀城、西に行けば金毘羅さんや善通寺もあるし、東に行けば四国水族館も間もなくオープンしますし、ゴールドタワー、瀬戸大橋もあります。すごくアクセスがいい場所ですよね。ロケーションとしては最高なんじゃないかと思ってます。


※丸亀駅から徒歩10分の丸亀港。塩飽水軍の本拠地・本島へ渡ることができる。

海外ゲストが教えてくれた日本の良さ・地方の良さ

SNSを頻繁に更新されていて、海外のお客様が多い印象です。どのような方が利用されてますか?

直:もちろん国内の方がビジネスなどで利用されることもありますが、海外の方は多いですね。昨年は瀬戸芸があったので、特に多かったです。瀬戸芸期間は海外ゲストのうち、9割が台湾の方でした。あとは、通常時だとヨーロッパから歩き遍路で来られる方が多いです。

印象的だったお客様がいたら教えてください。

直:皆さんそれぞれに印象的ですが……海外のリピーターさんでドイツのお遍路さんの方がいるんです。最初うちに来た時は、白衣を着ていたので、それこそ「海外のお遍路さん」という風貌だったんです。ところがその人が、実はクラシックのピアニストで、スタジオジブリの久石譲さんとUSJで一緒にコラボレーションするほどの作曲家の方だったんですよ!
それでSoundBar OCHO(丸亀市通町)に行ったらグランドピアノがあるからと、その時に滞在してたお客様3,4人誘ってみんなで行きました。

光:みんな行って、私だけ留守番ですよ……(笑)
でも、ここに帰ってきたときのみんなの顔が全く違ってね、それは良かったと言ってました。

直:そらそうですよね、プロですから。もう大歓声でした。

あとはアドレン。今滞在中のカナダから来てる学生さんなんですが、うちでは一番滞在期間が長くなりました。4週間。
彼も最初はお遍路さんで来られて、多度津と宇多津の間を回る時にうちに泊まって頂いたんです。その時に話していたら「世界の武術を習っているが、体を鍛えるだけで不満を感じている」と言うので、「多度津町に心身ともに鍛えられる日本少林寺拳法の総本山があるよ」とお伝えしました。そしたら、「高野山まで行って、戻ってくる」と言って、実際に今丸亀に戻って、1か月日本少林寺拳法を習いに行っています。明後日が最終のレッスンですね。

光:すごいでしょ。本当に戻ってきたんですよ、彼(笑)いやぁ、それは嬉しかったです。

※アドレン(20)。もともと仏教に興味があった彼は、四国八十八か所の為にアルバイトで貯めたお金で四国に来たと言う。高野山から戻ってきてからの3週間は、毎朝丸亀城までジョギングするのが日課だったそう。

直:他にはフランス、オーストラリア、エストニア……あとは上海の方で日本の古典文学に興味がある方もいらっしゃいましたね。

こちらに来るゲストさんは、国から職業から多種多様で、ここの談話スペースはゲストの皆さんのコミュニケーションの場になってますね。それぞれの国の文化を知れるいい機会なんだと思います。私たちも世界のいろんな方からいろんな情報を聞くので、それだけで行った気分になるわけですよ(笑)

確かにそんな気分になりそうですね。海外の人から見た四国ってどういう印象を受けているように見えますか?

直:大体こちらに来られる方は、東京・大阪・京都なんかの大都市は既に行ってる方が多いんですね。そしてそこから四国に来ると、非常に魅力的みたいです。「こんなに四国が良いところだとは知らなかった」って言いますね。

例えばどんなところですか?

直:みんな口を揃えて言うのは安全と清潔ですね。うちは海外のリピーターでも、特に女性が多いんです。それで「どうしてそんなに四国に来るんですか?」って聞いたことがあるんです。

そしたらまず「安全と清潔」という言葉が出てきますね。だから日本語が全然喋れなくても、スマホで調べれば今の時代行けるわけで。それにしても「女性1人で大丈夫かな」なんて、私たちは思うわけですが、私たち日本人でも行かないようなところにも行かれてますね。
その背景には「安心感」がやっぱりあるんだと思います。もちろん自然とか人とか時間の流れ……そういうのもあるんですが、安心の上でそういった事を楽しめるのが良いんじゃないでしょうか。

2年の年月を経て見えてきた自分たちの歩む道

オープン3年目に突入し、お二人の今後の展望はどのようにお考えですか?

光:展望というのかは分からないけれど、ここ(談話スペース)でお話して、交流ができたお客様の層が、およそ方向性が固まってきだしたんです。

なんか「文化」が1つキーワードになってるような感じでね。世界の文化、日本の文化、そして地元の文化。これらの情報をお客様がうまく自分なりに解釈して、次にどう活かしてくれるかというコーディネイトをするのが私たちの役割かなと思います。

なるほど。様々な文化をシャッフルする立場にあるということですね。

光:そうですね。でね、面白いなと思うのは、こういう方に来て欲しいなと思ってると、求めてる層のゲストがたまたま来るんですよね~。だから話題にも富むし、関係性も深まりますよね。
この前なんか、ここで知り合ったお客様が、中国で落ち合ってましたよ。そういうのを聞くと嬉しいです。だから、あともうちょっとかなって……3年目に入って、やっと固まってき始めたなっていう感覚はありますね。

形が作れて流れが出来れば、あとは若い人に入ってもらって、運営してもらったらいいなと思ってますよ。そうすればその人たちも新しい文化に触れて、教養も高まるし、ゲストにもこちらにも双方にいい効果が出るかなと思うんですよね。それが文化の継承と発展なのかな……と。

だから核を作るのは大変ですけど、やりがいはありますよね。流れが出来始めると面白いですよ。

※光好さんが仲間と一緒に作成した紙芝居。影山甚右衛門は明治時代現在の四国鉄道の前身ともいうべき私鉄讃岐鉄道の創立者。多度津(光好さん出身)を起点に琴平(直美さん出身)・丸亀(ふくふく)まで汽車を走らせたこともあり、非常に親しみを感じているという。

これからが楽しみですね。

光:そうですね。私たちもどうなるか分からないけど……楽しみです。


お二人の話から他所の文化を知ることが、日本や地元の文化、ひいては自分自身を豊かにしてくれるのだなと、そのような感想を持ちました。そして、お二人自身が身をもって、それを感じているからこそ、この丸亀で次の世代へ文化を引き継いでいきたいのだと……そこにお二人の優しさをも感じることが出来ました。
ゲストハウスふくふく3年目。お二人が作りあげていく、ふくふくの歴史と文化が楽しみです!ご協力ありがとうございました。

 

“We want to introduce cultures and attractions of this town and this country.”

An interview with Mr.Mitsuyoshi Shiota and Ms.Naomi Shiota, the owners of The Marugame Guest House FUKUFUKU

”There was no telling he will succeed or not. Still, I wanted to support my husband, who had been immersing himself in preparation for the opening.”
”I was just driven by momentum. It was challenging, so I made it with momentum. If I have to do that again, I need extra energy.”

At the end of this interview, they talked about their honest thoughts like that quietly. After Mitsuyoshi retired at mandatory retirement age, they have opened a guest house in front of Marugame station for their second life. It has been two years since the opening, and a feature of the guest house FUKUFUKU is international guests. They talked about the attractions of this town, which they perceive through interactions with the guests and their feelings for the operation of the guest house.


This area is located perfectly.

Could you tell me what made you to start a guest house in Marugame?

Naomi(N): We got information about this real-estate with a good location at the perfect timing. My husband, who was a work-oriented person to the core, had just retired in that year. I didn’t want him to stay inside because of retirement, and I thought we needed to do something.

Mitsuyoshi(M): I’ve always been a person who is always doing something and can’t live without work.

When were you inspired to open a guest house?

N: To be honest, initially, we didn’t think about a guest house at all. When we were referred to this building, we started thinking a guest house might suit here considering the contents and location of the building.

From which point of view did you think a guest house might suit?

M: Originally, several owners of this real estate lent rooms to each tenant. A sewing machine shop and a cafe were on the first floor, and some offices were above on the second floor at that time. Because it has been in front of the station, people used to have their base here, and went to Takamatsu and the west by train, I guess.

With those backgrounds and the recent tendency of foreign tourists, I motivated to have guests who stay here for a while and travel to the south and the west. Since my wife speaks English, I thought we were able to support backpackers from abroad.

Did you consider other areas and real estate before you decided?

M: No, we didn’t. I am originally from Tadotsu, and my wife was from Kotohira. Furthermore, the center of mid-Kagawa and west Kagawa is Marugame. Considering the convenience of transport, the guests tend to have a base here. A building, which is located in front of Marugame station, is rare.

It marked the second anniversary this February. Congratulation! After two years of operation, what kind of attractions do you think this area has?

N: Number one is Marugame castle. And they are followed by MIMOCA(Marugame Genichiro-Inokuma Museum of contemporary art),  Art students sometimes visit just for MIMOCA.

Moreover, there are islands. We once had a guest from France who wanted to see a Japanese landscape in the original state, as seen in a movie and visited one island per day. European people spend their time differently compare to us. We Japanese consume time, like dividing into many pieces. European people don’t do the same, and it is impressive for me. Maybe time which flows in islands suits for them. There are many islands in Seto inland sea, and I think it is desirable.

Like this, we have Seto inland sea to the north, Marugame Castle in the south, there are Kompira shrine and Zentsuji to the west, and to the east, there is Shikoku Aquarium which is going to open soon, Gold tower and Seto Ohashi. It’s so easy to get around, and located in the best place, I believe.

※Marugame port is ten minute walk from the station. Honjima, Shiwaku Navy’s base is accessible from here.

We’ve learned charms of Japan and local city from oversea guests.

You often update the SNS, and I got the impression of many guests from abroad in photos. What kind of people does usually stay?

N: We have Japanese guests who stay for their work, but there are many guests from abroad, too. Especially in the last year, because of Setouchi Trienniale 2019, there were many oversea guests. During the art festival, more than 90% of oversea guests were from Taiwan. We usually have a lot of guests from Europe who walk the pilgrimage.

Were there any memorable guests?

N: Every person is memorable for us, but there was a pilgrim from Germany, and he stayed here several times. When he stayed here for the first time, he was wearing white as pilgrims and looked like “a pilgrim from abroad.” Later, we found out he was a pianist for classical music, indeed, who was also a composer. He had worked together with Jo Hisaishi for Universal studio Japan.
Therefore, we went to Sound Bar Ocho in Toricho together, in which there was a grand piano. We also invited three or four guests who were staying at that night.

M: Everyone but me. I had to stay here. However, their faces looked different for me because of his music, and they said his music was so good.

N: Obviously. He was a professional. There were cheers of joy while he was playing.

Furthermore, we have Adren from Canada, who has been staying for four weeks, and it is the most extended stay among our guests.
He came here as a pilgrim at first and were staying here while he had walked from Tadotsu to Utazu. When we were talking, he mentioned, “I have been learning martial arts all over the world, but I’m not satisfied with only doing a workout.” So I said, “There is the authority of Shorinji Kempo in Utazu where you can train the mind and body.” Then he said, “After I reached Mt.Koya, I’ll come back.” He came back indeed, and have been learning Shorinji Kempo for a month. The day after tomorrow will be the last lesson.

M: Isn’t it amazing? He came back really. We were so glad.

※This is Adren. Since he has been initially interested in Buddhism, he had earned and saved money for the 88 temples pilgrimage in Shikoku. After coming back from Mt. Koya, he had been jogging every morning to Marugame Castle for three weeks.

N: Besides them, there were guests from France, Australia, and Estonia. A guest from Shanghai was interested in Japanese classical literature.
These guests have a diversity of countries and professions so that they can interact with each other at this lounge. It may be an excellent opportunity to get to know the cultures of other countries. We also get many pieces of information from guests all over the world. It makes us feel like we have been there.

I suppose so. In your opinion, what kind of impression do people from abroad have of Shikoku?

N: Many of them who visit around here have also been to some big cities like Tokyo, Osaka, and Kyoto. Compare to those cities, Shikoku seems to be attractive to them. “Never thought Shikoku is such a nice place,” they say.

Which points do they think are attractive, for example?

N: Everybody mentions about safety and cleanliness. Many oversea repeat customers at this guest house are women. We asked once about the reason why they came to Shikoku. Their answer was safety and cleanliness. Thus people go on a trip with their smartphones and without speaking Japanese. We sometimes wonder, “Is she ok by herself ?” However, they go where even we Japanese don’t go.

As its background, they feel safe, I suppose. Of course, nature, people, and flow of time attract them; safety comes first, though. On condition that they feel safe, they can enjoy those stuff.

We’ve found our way after spent two years.

Braking into the third year, what is your future prospect?

M: I’m not sure if it is a prospect, guests we have talked within this lounge have a tendency.

The word ‘culture’ came up my mind as a keyword or stuff like that—the culture of the world, the culture of Japan, and the culture of locals. Guests will understand this information by themselves and hopefully make use of them further. Our role is to coordinate this process, I think.

I see. You are going to ’shuffle’ those cultures, right?

M: That’s true. The exciting thing is when I seek a specific type of guests, they happen to come. Therefore, we have many things to talk about, and we become closer.

The other day, guests who got to know each other here, met again in China. Hearing those stories makes me happy. That’s why I think we are getting closer. Our feeling is starting to take shape in the third year, I guess.

After we make a basis and set the tone, hopefully, young people will manage this guest house. If so, they learn new cultures, and it will be a win-win situation for guests and us. We may carry on and develop cultures in this way, I think.

It is hard and to form a basis, but also worth it. Once it works well, it gets more exciting.

※‘Kami-shibai' which Mitsuyoshi and his friends made together. Jin-uemon Kageyama was a founder of the Sanuki private railroad, which was the predecessor of the Shikoku railroad in the Meiji era. Sanuki private railroad operated between Tadotsu(Mitsuyoshi's hometown), Kotohira(Naomi's hometown), and Marugame(where FUKUFUKU is located). That's why he feels a sense of familiarity.

That sounds exciting.

M : Yes. We don’t know what will happen, but we are excited.


By their story, I understood learning other cultures enriches local culture, Japanese culture, furthermore, that enriches oneself. I also realized that they feel the fact from their own experience, so they want to pass down those cultures to the next generation in Marugame. I felt their kindness thorough the ambition.
The third year of the guest house FUKUFUKU. I'm excited about the history and cultures of FUKUFUKU, which they are going to make! Thank you very much.